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日常
そこは壁に覆われた白い空間だった。
唯一建物の奥にある灰色の翼を持つ、人間が祈りを捧げる姿をモチーフにした
ステンドグラスから眩いばかりの日光が
伝って内部を明るく照らし出す。
そのステンドグラスの人物をモチーフにした像の前で・・・我は膝をつき、祈りを捧げていた。
名前はセリカ、セリカ=フライン。年齢は9歳。腰より下まで流れる黒髪に、綺麗に装飾をされた白いローブ。
下は動きやすいように膝上までのスパッツをはいている。
普通に見れば何処にでもいる普通の女の子だ・・・その姿にはにつかわない・・・腰に拳銃を二本ぶら下げているの以外は。
『・・・・・祈りを捧げ・・・・・命を持つものに平和を、聖霊達と共に戯れ・・・・・我らと戯れる者達に慈悲を・・・・・我の口ずさむ言葉を、祈りを・・・・・命を持つ皆の言葉とする・・・・・』
聞き慣れない、聞き取りづらい言語を用いて静かに口ずさむ・・・これは我ら古代人のみに通じる言葉だ。
古代人・・・それはヒトでありながらも灰色の翼を所有している少々変わった種族である。
必ず左目は金色のオッドアイで、聖霊達とも交流が深い。
翼があることから普通のヒトよりも寿命がながい。まさにいたせり尽くせりだ。祈りも終え、ゆっくり立ち上がった時・・・・・沈黙していた建物の入り口から思いっきり扉を開ける騒々しい音と・・・・・風を感じた。
「セリカッ!祈りは終わった?」
「フェザート・・・あぁ。たった今な」
突然現れた人物に、我は全く動じずにゆっくりと振り向いて相手に視線を移す。
それは勿論、誰が来たか大体想像が付いていたからだが。
名はフェザート=アルシェイン。
年は我と同じで淡い青緑の髪を後ろで束ね
我と同じローブを身に纏っている。
腰には弓矢をぶら下げ、背中には灰色の翼を付けている。
まぁ、幼馴染みと言う奴だ。
相当慌てて全力疾走してきたのか、口を大きく開けて息継ぎを何回も何回もしている。
「ハァ・・・ハァ・・・・なんか疲れた
此処まで王宮から余り距離ないのに」
「それはお前が翼を出したまま走ったからだろう?」
「・・・・・あ」
翼を出して走れば風の抵抗をもろに喰らい、疲れる事くらい目に見えていると言うのに・・・・・
全く何処か抜けていると言うか何と言うか・・・・・
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