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“ビクッ”
突然の呼びかけに私は肩を震わせる。
そして、身体が固まり身動きが出来なくなった。
呼吸が荒くなる。
固唾を無理矢理喉に押し込んで、伸ばしかけた手を引っ込める。
高ぶる鼓動を落ち着かせて、勇気を振り絞り、振り返る。
私は後ろで立っている人物を見て安堵の溜息をつく。
「…銀さん…驚かさないで下さい…。心臓が爆発しそうです…」
「あ?悪い悪い…。
でも、そんな格好で路地裏にしゃがみ込んでちゃ、見てるこっちも驚くんだよ…」
銀さんはコンクリートの壁に寄りかかった。
そして、横目で私を見つめる。
「…んな所でしゃがんでたら風邪引くぞ?
ウチ来るか?」
「は、はぇ!?いや…そのぉ…大丈夫なんで…」
「大丈夫なワケねぇだろ?
せめて、立てよ…」
銀さんが迫ってきたので、私は急いで立ち上がり、銀に光るソレに、足で雪を被せた。
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