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“カンッッッ…”
虚しく大きく缶の音が響き渡る。
音がなくなってもまだ耳でエコーを続ける。
皆、じっと缶を見つめていた。
穴が空きそうなくらい…。
「す…凄いアル!!!
夕菜の勝ちアル!!」
歓声を上げて最初に喜んだ神楽。
それを聞いて段々と皆の緊張の糸が解れてゆく。
「畜生…やられちまったぁ…」
銀さんが悔しそうに起き上がって、雪の上であぐらをかいた。
私は雪の上にちょこんと座ったまま唖然とする。
嬉しさ…?
悲しさ…?
怒り…?
ワケの分からない感覚が全身に行き渡る。
“何…コレ…”
「…まぁ、僕は関係ないですけどね…。銀さん!!ちゃんとCD買って下さいね?
僕が捕まっても捕まらなくても、関係ないんでしょ?」
「いや、アレ全部ノリで言ってたから…」
「…なんですかそれ!!!!」
「ふっ…俺達もまだまだのようだったな…」
「いやぁ~とにかくこの缶蹴りが終わってくれてなによりだなぁ~…」
“アレ…?”
「夕菜…なにしやがんでィ…。
っつてててて…」
「総悟…大丈夫か?」
「…まぁ何とか…。
オイメガネ。ちゃんと計画性を考えてから行動しねェからこうなんでィ…」
「まぁ、結局銀ちゃんに裏切られる始末だったアルな…」
“アレ…?”
“皆…ゆがん…”
「まっ、夕菜が缶を倒したことに変わりがねぇしな…。
しゃーねぇ…。
夕菜ガム買ってやっけどな…。
一箱で勘弁してくれよな?」
「…やっぱりそういうケチをつけるんですか…?」
「ケチじゃねぇよ。ちゃんと、
買ってやるっつってんじゃねぇーの?新八君んん?」
“アレ…?”
「あぁ~つまんねぇでィ…。
そろそろ帰らねェといけねぇや。
ドラマの再放送が…」
「じゃあぱぱっと買って帰るか?夕菜?…ン?
そういやお前…顔赤くね?」
「…銀さん…ガム…はいらないです…。その代わりに…
ひえピタを買ってください…。
クシュンッッッッッッッ!!」
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