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「とりあえず、山崎が負けたことに変わりはねぇんでさァ。
大人しくやりな」
「そうだぞ?もしも悪化したらどうするんだ?」
しかしとも、山崎さんはまだまだ下がらない。
「でも俺、仕事が…」
「大丈夫だ。俺がOFFにしといてやる」
近藤さんが山崎さんの肩にポンッと手を置いた。
けれども、それを簡単に払いのける。
「そういう時だけやめてくださいよ!!大体、夕菜ちゃんや沖田さんだっているんじゃ…」
「山崎さん。私今日中にDVDをレイジェニアっていう友達に返さないと殺されるんですよ。
返さなかったらお金取られるし…。それに今日は新作ゲームの発売日なんですよ。
行かなきゃ損じゃないですか?」
「そんなのどうでもいいだろー!!」
「山崎、俺も駄菓子屋の当たりくじの偽装したヤツをババアに見せなきゃならねぇ、外せねぇ仕事があるんでィ。
後は頼みまさァ」
「理由になってねぇよ!!」
「大体、私、じゃんけんで負けてたとしても“土方さんの看病”なんて絶対にしませんから」
そう。
真選組副長土方十四郎が風邪に罹ってしまったのだ。
そしてこのじゃんけんで何の勝負をしていたのかというと、誰が土方さんの看病をするか。
まぁ、私は“死んでも”やらないからいいんだけど。
「それにしても…近藤さん。
馬鹿は風邪を引かないって嘘だったんですね?」
『それはいわゆる俺が馬鹿ということか!?』
襖が開放たれ、隣の部屋で寝ていた筈の土方さんが真っ青な顔で叫んだ。
私は冷たい視線を送る。
「That's right!
良く出来ました~」
「ふざけんじゃねぇよ!!
俺はこんなヤツに看病なんぞされたかねぇからな!?」
分かってますよ。
私だって。
「私だってこれっぽっちも土方さんの看病をしたいなんて思ってませんから!!
まだ、知らねぇジジイを
看病する方がマシだ
コノヤロー!!」
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