馬鹿は風邪を引かないってアレ…マジ?

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「トシ!!無理をするんじゃない!!40度近くあるんだぞ!?」 「熱なんぞ、知ったことか…。 俺は大丈夫だ」 そう意地を張っているものの顔が真っ青だ。 私の悪戯心に火がつくのも無理はない。 「そうですよ近藤さん。 土方さんが熱なんぞでへこたれる弱者じゃないですよ。 小説が2、3ページ進めば自然と治ってますから」 「治るかぁぁぁ!!! そんな僅かなページで治るんなら苦労しねぇだろ!?」 「大丈夫ですよ。 小説は作者の気分でストーリーが転回しますから、きっと治してくれますよ…。 保障はしないけど…」 「じゃあトシ。しっかり寝てるんだぞ!? お前は無茶しすぎなんだ。 山崎、頼んだぞ…?」 山崎さんは渋々「はい…」 と返事をしていた。 山崎さんは良い人だからぶつぶつと長く文句は言っていなかった。 私は少しだけ笑うと、部屋を出た。 「よし、DVDを返しに行かないと明日がない…」 外は冷えるので毛糸のマフラーで首をぐるぐるに巻いて出た。 雪がちらついている。 吐く息が白い。 瞬時で鳥肌が立ち、時々吹く風に身震いする。 「こっちは地球温暖化とか影響無い訳?」 気短な私にとって嫌な季節。 子どもは真っ白な雪をかき集めて雪だるまを作っている。 そういえば、子どもの頃から私はコタツにこもっていたっけな…。 私はズレた子どもだった。 周りからは大人だとも言われていたけれども…違うのだ。 私は…私は…。 『めんどくさがりなんだよね~…』
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