13人が本棚に入れています
本棚に追加
いつも通りとは言えない放課後を過ごしたシキはその翌日、せっかくの休日だというのになんとも微妙な気分で目を覚ました。むっつりと顔をしかめて起き上がると、起こしに来た姉さんに指をさして笑われる。
何そのぶっさいくな顔!
ああもう、余計なお世話というやつだ。
夢に見たのはやはり黒。ただ、黒豚が大行進する夢だったので、案外自分の心は余裕があるかもしれない。
何はともあれ昨日の記憶を無性に消し去りたくて、シキはぶんぶんと頭を振った。振りすぎてふらふらになりながら部屋着を掴み、着替えようとした瞬間に今日は画材店に行く予定だったのを思い出す。
――あーもうっ!
なんで自分がこんなにイライラしているのかわからない。けれどシキは苛立ちに任せて部屋着をベッドに放り投げ、外出用のクローゼットに手をかけた。後で母さんに怒られるだろうが、今のシキにはどうでもいいことだった。
もちろん後で後悔するだろうけれど。
最初のコメントを投稿しよう!