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「まあ、あたしたちも偏食って言われるけど……弟に勝る人はいないわよね」
合点がいったように頷くカイとは裏腹に、はて、とシキは首を傾げた。あたし『たち』というからにはアイのいう偏食は双子を指すのだろうけど、その後に続く『弟』という単語が引っかかる。
「あれ、お二人以外にも兄弟いたんですか?」
きょとんとするシキに返ってきたのは、同じくきょとんとした双子の顔だった。同じ表情をすると似ているのが本当によくわかる。
しばらく三人で見つめ合ってからようやく「ああ、」とカイが手を打った。
「そうか、シキちゃんはサイのこと知らねえのか」
それを聞いてアイも納得したようだった。また新しい名前の登場に、シキは更に首を傾げるはめになったけれど。
「サイ?」
「あたしたちの弟よ。シキちゃんと同じ学校だからてっきり知ってるかと思ったけど……よくよく考えたらサイはシキちゃんより一つ年上だったわね」
そりゃあ知らないはずね、くすくす悪戯っぽく笑うアイはやっぱり綺麗だった。シキはといえば、ただ純粋に驚いていた。この店の常連ともあろう自分が、それこそ山崎家の両親とも仲が良い自分が、まさか一度も会ったことのない人がいたなんて。
しかも同じ学校らしい。
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