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「ルアシールは、中世の裏世界に生きた一人の魔術師です」
「裏の魔術師…」
「この世界の改革を首謀したルアシールは、改革を完了させる前に殺されました。しかし、聖書には新たな予言が追加されていたのです」
「…なんて?」
その先の答えは分かっていた。
全てを、認めたくなかった。
それを聞いたウルは呆れたように肩をすくませている。
「先ほどお伝えしたはずです。ルアシールの永久の血縁となりし後継者により、再び改革は起こるだろう、と」
「で、でも俺だってルアシールの血縁関係にあるんだろ!何で俺が改革者に選ばれなかったんだ?!」
お父さんが後継者なら、血が繋がっている俺も同じじゃないか!
夜魅の笑顔とお父さんの顔とが重なった。
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「…夜魅様は、ご自分で改革者になることを望んだのです」
頭の中の夜魅の笑顔が、霧のように消えていった。
「自分から望んだ…のか?」
夜魅の普段の行動からは考えられないことだった。
夜魅は昔から体が弱く、小学校も休みがちだった。
そんな夜魅はいつもイジメの標的で、事あるごとに俺が守った。
「夜魅様は、今も暴走を続けています。改革は始まりました」
ウルは、青緑に輝く瞳を俺に向けて言った。
「…改革は、そんなに悪いことなのか?」
「貴方様のご両親が亡くなられたのも、改革の序盤です。何故なら改革は、貴方様を消す為に始まったのですから」
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