第1幕・幻想入り(1)

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「・・・・。」 目が覚めると、森の中にいた。 「え~っと・・・あれ?」 正直、訳がわからない。 …たしか、学校帰りに、 駅で友達とデュ〇マのカードで 勝負していて…、 それで…時間やし帰ろうって いうことになって…。 「あ、思い出した。」 そうだ。 家に帰る途中、 急に穴に落ちたんだ…。 「でも…。」 俺は周りを見る…。 「やっぱりおかしいな。」 そう。 明らかに違うのだ。 自分の記憶では、 コンビニをとおり過ぎて、 穴に落ちた。 しかし、周りにコンビニなど ないし…、 まず、穴に落ちたのに、 穴の中に自分はいない。 「変だな…。」 とくに理由もなく空を見上げる。 「満月…いや、十六夜 (いざよい)かな?」 空にあった月は満月に見えるがよく見れば、 ほんの少し欠けていた。 よくいう十六夜月である。 「まあ、綺麗やしいいか♪」 少しばかり、その月で 癒された。 「とりあえず動くか…。」 そう言って俺は立ち上がった。 「あ…そういえば!」 俺は、すぐに制服のブレザーの ポケットに手を入れた。 「よし!いける!」 ポケットの中身は何も変わっていない。 それが幸運だった。 俺はポケットから手を出すと、 横にあったかばんを持ち、 歩き出した。 その時、俺は気付かなかった。 俺の後方から忍び寄る、 その気配には…。
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