6.155X年 晩秋 相模国  東海道~玉縄

5/5
前へ
/97ページ
次へ
宇都宮軍のバズーカ攻撃に壊走状態となった騎馬軍団にかわり、バズーカで武装した俺ら雑兵軍団が、次々と宇都宮陣営に砲撃を加える。 ただこのバズーカ、やはり所詮はお手製だけあって、殺傷能力はたいしたことない。 しかし、飛距離はそこそこで、扱いも楽なので、矢継ぎ早の攻撃が可能であり、ぶっちゃけ、こけおどしには十分威力を発揮する。 とくに騎馬軍団相手には、馬が驚いて迷走するため、面白いように壊滅する。 ちなみに北条軍のバズーカの燃料は手軽に入手できるアルコールとして“どぶろく”が使われている。 バズーカだけでなく、自分にも“給油”して士気を高めると言うわけである。 「いけいけぇ! 宇都宮なんてけちらせぇ!」 雑兵軍団の指揮にあたるひかるさんが、自らバズーカを携え吼える。 こうした正面の撃ち合いに加え、壊走状態から立ち直った騎馬軍団が、サイドから宇都宮軍に切り込んでゆく。 騎馬軍団の先頭に立つのは、北条綱成・氏繁親子。 「地黄八幡だぁ!」 「せっかく宇都宮から出てきたのに・・・・・・死ぬ前に海を見たかった」 敵の悲鳴が、地響きのような蹄音にかき消されてゆく。 宇都宮のバズーカ隊は、もはや壊滅状態。 「勝負あったな」 例によって俺は、ぺーぺーのくせに生意気にも、勝利を確信した。 ・・・・・・その、時だった。 “奴”が現れたのは――
/97ページ

最初のコメントを投稿しよう!

137人が本棚に入れています
本棚に追加