7.155X年 晩秋 相模国  大船近郊

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「上之宮・・・・・・玲菜・・・・・・!?」 うろたえたように、ひかるさんが呟く。 「何か知ってるんすか、ひかるさん?」 「知ってるも何も・・・・・・ボクが高校の頃、彼女はバレーボールのライバルだったんだ!」 ひかるさんはかつて、元の時代では全国大会クラスのバレー選手だったという。 そのとき、栃木代表の高校のエースとして立ちはだかってきたのが、いま宇都宮陣内にいる上之宮玲菜だったという。 そして高校三年間で、ただの一度も、ひかるさんは彼女に勝てなかったと言う。 「まさか彼女も“新入社員”になっていたなんて・・・・・・」 すると、いつのまにか氏繁公がこちらに来ていた。 そして下馬し、ひかるさんのもとへ駆け寄って一言。 「ひかる・・・・・・それがそなたと彼奴との運命(さだめ)なのじゃ・・・・・・どんなつらい運命なれども、大丈夫! ワシがついておる!!」 そう言って氏繁公は、ひかるさんを抱きしめた。 ふぅ。 晩秋だっつーのにあついあつい。 「・・・・・・わかったよシゲたん! ボク、ひるまず戦うよ!」 どうやら、愛のパワーで元気になったようで。
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