7.155X年 晩秋 相模国  大船近郊

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――オート三輪!? でもまさか、この時代の技術力でエンジンができるわけが―― でも、ならくぐもったような音は何なんだ!? そう俺が思っているうちに、宇都宮陣では、玲菜の号令がかかる。 「進めぇーい!!」 その号令の元、“オート三輪のようなもの”が、不気味な音を響かせながら、切りかかる我が方の騎馬軍団に次々と突入してゆく。 切りかかる騎馬軍団をあざ笑うかのように、高い機動力を見せる“オート三輪のようなもの”。 速度こそ、後の自動車に比べて遅いものの、荷台に乗ったバズーカを抱えた兵士、鉄砲を構えた兵士が次々と撃ちかかり、機動力を生かして去ってゆく。 大きな音や激しい戦闘で制御不能になる騎馬に比べ、御者の意のままに動き、安定した機動力を維持する“オート三輪のようなもの”。 意気揚々と切りかかった我が方の騎馬部隊は、数分も立たずに壊滅した。 「なんなんだ、あれは・・・・・・」 氏繁公が、俺の横で呆然とその様を見つめている。 ひかるさんも氏繁公に寄り添い、黙って成り行きを見守っていた。 俺は、“まさか戦国の技術でエンジンなんて”と思いつつも、エンジン以外のモノで動いているとは到底思えない“オート三輪のようなもの”について、必死で無い頭を絞って考えていた。 戦場に不気味に響き渡る、くぐもったような音。 通常の内燃機関にしては、妙に静か過ぎる―― ――そうだ! あれなら低い工作技術でも作れたはず!――
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