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放課後――。ひかるはエアリアル部の部室で渡された青と白のライダースーツに着替え、愛流の待つ校門の前までやってきた。
一方の愛流は汚れてもいい作業着姿でグライディングボードの調整をしているようだった。
ビニールシートの上にはノートパソコンや機械油、工具などが散乱していた。
「おまたせ!」
「あ、ひかるちゃん。ちょうど今最終調整が終わったところなの」
愛流はボードを持ち上げ、ひかるに良く見えるように立てて見せた。
「これがグライディングボードねぇ……。これが浮くなんて未だに信じられないよ」
グライディングボード。宇宙開発の過程で発見された反重力素子・エキゾチック物質により浮力を得る新時代の乗り物だ。
愛流の持つボードは、一メートル弱の長さ。スケートボードよりは二まわりほど大きい、テレビで見るよりも間近で見たほうがだいぶ大きい印象だ。
全体的に白く、ふちはコバルトブルーのライン。リアには小型のスラスターが一つ。裏側には鮮やかな青色の光を放つ直径三十センチほどの円形の蛍光灯のような物体が埋め込まれており、円の真ん中にはもう一つ平たいスラスターが付いている。
「意外と大きいんだね。重くないの?」
「うん、カーボンだからそんなに重くないよ。それに耐熱性にも優れているし」
あはり愛流はメカを持たせると人が変わるなぁ、とひかるは密かに考えた。
「ざっと説明すると。リアに付いてるのがメインスラスター、これは直進する推力を生み出すものだね。そして裏についているのがサブスラスター、これは主にブレーキング用ね。地面との摩擦がゼロだからこれが無いと大事故になっちゃうよ。そして最後にこの青いリングが反重力リング、エキゾチック物質を活性させ浮力を生み出す一番重要な部分だよ。……って聞いてる?」
「き、聞いてるけど。さ、さっぱり……」
ひかるは地面にへたり込み、目を回していた。
「ランデル社製・GB-8000『サンダーボルト』。アメリカの高い信用性を誇るメーカーなの、他のレースボードは先輩たちの私物だったから、部室にこれしか残ってなくて……。でも、私が時々メンテしておいたから最終調整は簡単だったよ。練習用に出力は下げてあるから、大丈夫」
「『サンダーボルト(雷電)』かぁ……。なんかかっけぇじゃん、早速始めようよ!」
「うん」
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