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そして、その後。
朝練と同じくらいの30球近く投げた。
まあ、直球だけだったけど。
「・・・・・・」
無意識の内に投げているのか、バックスピンのストレートと螺旋回転のジャイロボール・・・・・・。
二つの武器があるが、投げてみないとどちらになるか分からない。少し不安要素だ。
先輩は何も言わず立ち尽くしていた。
「先輩どーっすか?」
立ち止まった先輩を見ると・・・・・・。
「一打席 ちょっと入っていいか?」
何かを確かめるように言った。俺は 無言で頷いた。
今、何かが違ったからだ。
そして――。
「・・・・・・やっぱり」
その声は確実に何かを見つけた声だった。先輩が俺の今の投球で何を見付けたかは分からない。
でも心当たりはある。
あの『感覚』だ。今の投球にも、それが現れた。一回だけだったが、何がどうなったかは分からない。
木陰は少しずつ消え、先輩は再び話し始めた。
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