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そして・・・・・・残り1時間58分。
誰かがこっちにやってきた。
「じゃあ 始めるか」
公園の門に大きな人影が見え、かなりの速さで走ってきた。あの人が松村先輩のようだ。背は大きく、筋肉が凄いという印象を受けた。
「投げてみろよ・・・・・・」
口調は怖い感じだ。
そして一球投げてみた・・・・・・投げた感じはよかったが、あの感覚ではなかった。
「120㎞/h前後かな? それより速く感じる・・・・・・。おい、もう少し足を広げてみろ。今のおまえは、フォームが小さい」
今までフォームは意識していなかった。誰にもフォームについては指摘してこなかったため、いつも通り投げていたが小さいらしい。
「頑張ってみます!」
「あぁ」
来年は強くなっているはずだ、その時には――。
松村は楽しみでありながらも、気になっていた。
そして・・・・・・俺達は、松村先輩に連れられて合宿場に向かった。みんなはもう既に着いているとのこと。
完成するといいなぁ・・・・・・と淡い期待を抱きつつ、俺は心の中で気合いを入れた。
負けられない・・・・・・。
あの時よりも強く・・・・・・。
《頑張って!》
弟に言われた最後の言葉で勇気づけられたんだ。無駄にするわけにはいかない。
過去の出来事を思い出していると宿舎に着いた。外観は少し年期の入った建物。壁は所々ひびが入っている、大丈夫か心配になったが代々この野球道学園が借りている立派な屋敷らしい。大きいが・・・・・・、屋敷と呼べる程の風貌は無い。
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