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名門、野球道学園。数々の栄光を手にしているが、ここ最近、その強さを感じられない。
野球は見るより、するほうが好きの為、俺は知る由も無い。
ついに来たんだ・・・・・・と、新しい制服を身に纏い、鼻を鳴らした。
「おっしゃーーー!!!!!」
校舎の門付近で叫ぶ人。同じ制服を身に纏っていた。まるで、合格した時みたいに嬉しさを爆発させているようだった。
「野球道学園ってどこだかわかるか?」
「えっ!? まあ、ここだけど・・・・・・」
見た事はあるが、記憶には無い。
「こらぁ!! 起きろ!!!」
耳元で姉貴の大きな声が、空気を震わせながら響いていた。
「出来るのなら丁寧に起こして貰いたいものだ」
「心の声が聞こえてるぞ」
「な、なんだって!?」
「それより、おまえは馬鹿か! 遅刻するぞ」
着替えて、慌てて外に出ると生徒らしき人影は無かった。初日から遅刻という恥をかくはめになりそうだ。
学校には、ぎりぎり間に合ったが、周囲の目は痛かった。
遅刻する寸前かつ、開始そうそうに寝るという醜態を見せたわけだ。
「これにて 入学式を終わります・・・・・・」
長かったようで、短かった入学式。寝ていたからか。
「これから 学校案内を行います」
こういうのは聞いて流してきたから、面倒臭いのだ。
そう思っているのは俺だけではないようだ。前を歩いている奴に関しては欠伸をしていた。
「なお 部活動は放課後に各部活動ごとに行われます」
もちろん、野球部に入るつもりだが、見に行かないわけにはいかない。
そうは言ったものの、途中にあった地図をちらっと見ると、多くの特別教室があった。
あの先生は、多分、几帳面な性格なのだろうか分からないが、そんな感じがする。
つまり、かい摘まんで説明するのではなく、全てを説明するのではないかと不安が募る辻沢だった。
その予想は的中することになった。
「この学校の全てを紹介するつもりだ、文科系の部室までもだ」
・・・・・・。
めんどくせぇぇぇぇ!!!!
心の叫びは本心である。声には出していないはず。
「めんどくせぇぇぇぇ!!!!」
一字一句間違っていないが、これは後方から聞こえてきた叫び声だった。
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