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帰る支度をした後、グラウンドへと歩く。遠くからは、バットでボールを弾き返す音が轟かす。
「ラストォ~ 一球!!!」
最後の一球を打ち終わり、何かグローブ以外の物で捕ったような音が、聞こえた。
「すまん。力加減するの忘れてた」
グラウンドの真ん中で、うずくまる人が居た。近くには、ボールが転がっている。
選ぶ場所を間違えたのか、危険な匂いしかしない。それでも、あいつの分まで野球する約束は、果たさないといけない。
「おまえ 見学者か?」
さっきまでバッティングをしていた人が来た。さっき倒れていた人は、もうそこにはいなかった。
「はい そうです」
「まぁ、ゆっくりしていってくれ。今年は、野球部に来る部員いないと思うし」
見渡す限り、今、居るであろう人は、多くない。しかし、一年生というような人は、見受けられなかった。
「先輩、俺は入りますよ。ここの部に」
「ホントか!? よっしゃ!!!」と先輩は言っていたが、さっきのことがあるので、この先輩だけは信用出来そうには無かった。
とにもかくにも1年生は俺一人だけどがんばりますか・・・・・・と、先輩が振り返った時に、ため息をついた。
「お前、一年か? 俺は須川だ。ここのキャプテンを務めている。お前もキャッチボールくらいするか? 暇だろ?」
「え、いいんですか?」
「ジャージ貸してやるよ」
「ありがとうございます!」
「ちょっと待ってろよ」
でも、去年学校の方針が変更されたとかで、三年生は大学受験するかしないかで、部活の活動休止やらなんやらがあるらしい。学校全体の学力が著しく低下している為だと言われていたような・・・・・・。
学生手帳を見ながら、疑問を抱いていた。そこには、そう書いてあったからだ。
「ほれ、ジャージだ。着替えてこい」
「分かりました」
学生手帳を鞄にしまい、受け取ったジャージを着替えにいった。
「よし、始めるか」
「中学何処なんだ?」
キャッチボールをしながら話し掛けてきた。
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