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「双木中学です」
「双葉とは良い試合だったな」
良い試合なんかじゃない。
先輩は、その試合で何か見たような感じだったが、あまり覚えてはいないようだった。
「そうか、お前が辻沢だったのか・・・・・・。俺、キャッチャーなんだ。お前の球を受けてみたいんだが、いいか?」
断る理由も無く、辻沢は先輩の言葉に首を縦に振って答えた。
今日、キャッチボールで硬球を初めて使ったが思うようにコントロール出来ていない。ピッチングになると、それは余計に酷くなるはず。
でも、投げるしかない。
「な、投げます!」
「来い!!」
足を上げて、大きく踏み込んでから、ボールを地面に叩き付けるように投げた。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
先輩は立ち上がり、ボールを返してきた。「もう一球だ」という言葉と共に。
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