76人が本棚に入れています
本棚に追加
それから13年が経ちルイと会うことは一度もなかった、華やかな舞踏会、定期的に開かれる行事や儀式にすらルイは姿を見せなかった
魔王の権力を使えばルイのことなど簡単に探し出せる‥だが私は権力をふるいルイを奪うことをしなかった‥
それは直接この手で彼を‥ルイを‥───奪い去りたかったかもしれない
‥‥‥‥・・
今日は私が魔王の座に即位してから13年になったことを祝うパーティーが行われる日
屋敷の会場を様々な種族の者達が賑わい世間話や見合い話などに華を咲かせていた
魔界に住まうもの達は容姿の整った者が多い
それ故に整った容姿も目になじめば普通でしかない
───今日もつまらないパーティーになりそうだ
騒がしい会場を高みから見下ろして何時もの如くため息をつく
だがそんな私の憂鬱は一瞬で杞憂に変わってしまった‥
絹糸のように細くそして光沢をもつキラキラと輝く髪に空の青さに似た青の瞳‥透き通るような白い肌‥
何より柔らかくだが力強い魔力‥
ずっと望んできた者
ルイの姿をこの目で捉えたからだ
歳月というものはすっかりルイを大人へと変えあどけなさを奪う代わりに色気をルイに与えていた
そうしてまた私の心はルイに捕らわれた‥
───ルイ‥
本当に君はずるい子だ‥
今度が私が君を捕らえて見せよう‥覚悟してくれ‥
手加減なんてしてはやらないからな‥
私はテラスへとルイが出て行ったのを見て静かに席を立った
そんな衝動を胸に秘めて‥
魔王side終───
+
最初のコメントを投稿しよう!