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紫と出会って一ヶ月くらいたった五月のある日の昼休み。
「……はぁ……」
俺はバカでかい壁に悩まされていた。
「どうしたんだい? 優也くん? またため息なんかついて? また痔かい?」
今声をかけてきたこいつは、霧崎隼人(キリサキハヤト)。パソコン好き、アニメ好き、ゲーム好きとちょっと危ないやつだ。小、中、高と同じ学校だったから数少ない友人(?)となっている。
「いや……な?
って痔って何だよお前。俺は痔なんかじゃねぇぞ!」
柄にもなく怒鳴ってしまった。誰が痔だってんだ、まったく……
「ハハハ、冗談だよ。
そうだ、試しに君が考えてることを当ててやろうか?」
手にしたアイスコーヒーを振りながらそう言って来やがった。
「ハッ! 当てられる物なら当てて見ろよ。」
暇潰しに聞いてやるのも良いだろうと思い、軽い気持ちで聞いていた。まぁ、人の心読める奴なんてこの世には居ないからな。
「そうだな……隣のクラスの高坂ちゃんの事とかじゃないかい?」
「っ! ゲホッゲホッ」
思わずむせてしまった。何でこいつわかるんだ!?
「何でこいつわかるんだ? みたいな事考えてるね? 簡単な事何だよ、ワトソンくん。」
誰がワトソンくんだ、バカタレ。
「昨日、君が言ったんじゃないか。隣のクラスの高坂紫の事が気になるって。」
あれ? そんな事言ったっけ?
その事を隼人に訊くと、
「超能力者ですよ……何てね。
そうだな、目は口ほどに物を言う……って事かな?
優也くんさ、自覚ないかも知れないけどずっと高坂ちゃんの事見てるよ?
とんだバカじゃないかぎり誰でも気付くって。」
とだけ言われた。何かムカつくぜ。
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