Chapter3

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 紫と出会って一ヶ月くらいたった五月のある日の昼休み。 「……はぁ……」  俺はバカでかい壁に悩まされていた。 「どうしたんだい? 優也くん? またため息なんかついて? また痔かい?」  今声をかけてきたこいつは、霧崎隼人(キリサキハヤト)。パソコン好き、アニメ好き、ゲーム好きとちょっと危ないやつだ。小、中、高と同じ学校だったから数少ない友人(?)となっている。 「いや……な?  って痔って何だよお前。俺は痔なんかじゃねぇぞ!」  柄にもなく怒鳴ってしまった。誰が痔だってんだ、まったく…… 「ハハハ、冗談だよ。  そうだ、試しに君が考えてることを当ててやろうか?」  手にしたアイスコーヒーを振りながらそう言って来やがった。 「ハッ! 当てられる物なら当てて見ろよ。」  暇潰しに聞いてやるのも良いだろうと思い、軽い気持ちで聞いていた。まぁ、人の心読める奴なんてこの世には居ないからな。 「そうだな……隣のクラスの高坂ちゃんの事とかじゃないかい?」 「っ! ゲホッゲホッ」  思わずむせてしまった。何でこいつわかるんだ!? 「何でこいつわかるんだ? みたいな事考えてるね? 簡単な事何だよ、ワトソンくん。」  誰がワトソンくんだ、バカタレ。 「昨日、君が言ったんじゃないか。隣のクラスの高坂紫の事が気になるって。」  あれ? そんな事言ったっけ?  その事を隼人に訊くと、 「超能力者ですよ……何てね。  そうだな、目は口ほどに物を言う……って事かな?  優也くんさ、自覚ないかも知れないけどずっと高坂ちゃんの事見てるよ?  とんだバカじゃないかぎり誰でも気付くって。」  とだけ言われた。何かムカつくぜ。
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