Chapter3

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「さて……と、何を買おうかな?」  購買の自販機の前。俺は何を買おうか悩んでいた。  前にも言ったが、俺には親が居ねえ。遺産も多くなく、節約せざるをえないわけだ。ならジュースとか買うなよとか言われそうだが、今何も飲まないと喉が渇いて死んでしまうからな。 「いや、死んでしまうは過言か……」  一人で呟いて百二十円入れて、サイダーを買うことにする。 「あれ? もしかして高崎さんですか?」  教室に帰ろうとしてる俺の後ろから不意に声がかかってきた。  俺の記憶の中で俺の事をさん付けで呼ぶ奴は一人しかいない。 「お、おう高坂か」  俺の予測通り、後ろに居たのは高坂だった。  さっき、隼人とアホな話をしていたせいか、少しだけ緊張していたり、してなかったり。 「……? どうかしたんですか?」  小首を傾げて高坂が訊いてきた。ヤバい、そんなにアホな顔になってたのか? 「い、いや、何でもねえ、それよか高坂も何か買いに来たのか?」  慌てて話を切り替える。自慢じゃないが、話題を作る能力(自称)はAランク位あると思う。 「あ、いえ。教室の前で優也さんを見かけたものですから、少しお話もしたかったので。お時間よろしいでしょうか?」  そう言って高坂は頭を下げてきた。どうせ、教室に帰ったって、待ってるのはアホの隼人だけだ。  ってか、お話って何だよ? まさか、こ、告白とかか? 「……んなわけねぇって……」 「はい?」 「え? あっいや、何でもねぇ。時間の方も大丈夫だ。んじゃベンチにでも行くか。」  どうやら声に出ていたらしい……バカみたいだぜ。  その後、残りの昼休みはずっと高坂と話していた。  うちの学校の早すぎる文化祭の事とか、高坂がその文化祭の委員になったとか、いろいろ話をしていた。  もちろんだが、告白なんて無かった。
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