398人が本棚に入れています
本棚に追加
「昨日に続いて今日まで……霧崎さん、そんなに忙しいのでしょうか?」
帰り道、隼人のことを心配した紫がそう言った。さぁな、あいつの考えだけは理解できん。したくもない。
「そうですか……」
そう言うと、紫は考えるように腕を組んだ。そんなに隼人のアホのことが気になるのか?
「いえ、霧崎さんのことじゃなくて、今日のお夕飯のことを……」
お夕飯……あぁ、晩飯か。晩飯……何か大事なことを忘れてたような……
「あぁぁぁぁ!」
急に大声を出したからか、紫がすごく驚いている。悪いがそんなこと関係ない。
「晩飯……晩飯か……忘れてた……」
それは今朝、咲那から言われた一言だった。
「今日遅くなりそうだから、先に晩御飯作って食べててね。」
何かデカイリュックサックを持った咲那がそう言った。
いつもの朝ならちゃんと聞いていたが、昨日のことが嬉しすぎて、夜通し喜びに浸っていたため眠っていない。まぁ、はっきり言って寝ぼけていたわけだ。
普通の男はどうか知らねぇが、残念なことに俺は料理のスキルがない。『晩飯を作れ』って言われて『わかったよ』と言えるほどの腕は持っていない。
だがそのときの俺は寝ぼけていたため、
「あぁ、うん……わかったよ。」
と、アホな答えを出してしまったわけだ。
最初のコメントを投稿しよう!