序章

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こんな気まぐれの行動が自身を中庭様に仕立て上げた要因の一つだと、本人は理解していない。 面倒くさがりやで通っている中庭様からエールを貰った青少年は、驚きと喜びの入り交じった表情を張り付けて 「よっしゃー中庭様からの応援で成功の確率が9割に上がったぞワハハー」 みたいなセリフを口走りながら、去っていった。 誰が作ったか ――中庭様に応援されると、成功する確率が9割に上がる―― などという、ローカルルールまで噂になっていた 。 今日も一仕事終えた(祈りは一日一回というルール)雄太は、大好きなココアを飲む。 そんな雄太の姿を、校舎の窓際から眺めている少女の姿がある。 しかし、これはまだ先のお話。 その後、雄太がそのまま居眠りをしてしまい、5時限目に遅れてしまうことは日常茶飯事だ。 この日の放課後、雄太は行き慣れたバイト先へと向かう。 面倒くさがりやな中庭様も、お金は必要なのだ―――。
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