第三章

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遥が見たのは、新山雄太が、自分と同じ女子の制服を着た化物に迫られている光景。 (何アレ!?えっ、女子なの?!) 自分の好きな人が女子に迫られている光景を見れば、普通なら怒りや嫉妬や不安が感情として出てくるところだ。 しかし、遥にとって、アレは女子の領域に属さなかった。 化物が発した、次の言葉を聞くまでは――― 「―――私と…、付き合って下さい!」 「――ッ!」 その言葉を聞いた瞬間、遥の息が詰まる。 そして、認識を改めた。 (あの子は、女子だ…) 未だ友達にもなれていない自分と違い、あの女子は告白までした。 学校で見かけた事が無いのを考えると、恐らくは一年生。 たった一ヶ月程度の期間で告白の覚悟までした女子に、遥は軽い敗北感に襲われた。 ―――しかし、それはそれ。 次に遥の目に映ったのは、新山雄太が困っている姿。 (…新山に迷惑掛けるのは、許さないよ) そう、告白だからといって、相手に迷惑を掛けて良い理由にはならない。 その相手が、自分の好きな人なら尚更だ。 だから、遥は二人のもとへと歩き出す。 今の遥の頭には、新山雄太に対する緊張は無く、ただあの女子への怒りがあるのみ。 当初の予定とは全く違うが、緊張が無いという意味では、一番リラックスできていたと言えるだろう。 《5月10日_PM12:35》 新山雄太は、混乱していた。 女子の制服を着た化物に迫られていたと思ったら、今度は自分を嫌っているであろう巨乳娘が現れたのだ。 何をどう対処したら良いのか分からず、雄太は取りあえず成り行きに身を任せることにした。
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