第一章

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(2) 「………」 「………」 沈黙。 挨拶もそこそこでレジに並んだ二人の間に、会話は無い。 ただ黙々と、自分の作業を済ませていく。 だからといって、気まずさというものは皆無だった。 雄太は最低限関わらないように接しているし、佳奈はこれといって雄太に 興味を持ってはいない。 故に、二人にとってはこの雰囲気が当たり前となった。 順調に時間は進み、高校生の二人は帰る時間が近づいてきたのだが、ここでイレギュラーな事態が起きた。 明らかに挙動不審な中年の男が、入店してきたのだ。 (何か気持ちワリーな) と雄太が思った直後、男は商品も取らずにレジに向かって来て―― ――包丁を向けてきた (は?) 雄太が呆然としていると、男は震える声で要求を述べてきた。 「かっ、金を出せぇ! 出さないと刺すぞ!!」 「なっ?!」 (強盗!?マジかよ!) テンパっている雄太が冷静さを取り戻す前に、更なる面倒がやってきた。 商品を陳列させていた佳奈が、事情を把握してコッチに向かってきたのだ。
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