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「………」
「………」
沈黙。
挨拶もそこそこでレジに並んだ二人の間に、会話は無い。
ただ黙々と、自分の作業を済ませていく。
だからといって、気まずさというものは皆無だった。
雄太は最低限関わらないように接しているし、佳奈はこれといって雄太に 興味を持ってはいない。
故に、二人にとってはこの雰囲気が当たり前となった。
順調に時間は進み、高校生の二人は帰る時間が近づいてきたのだが、ここでイレギュラーな事態が起きた。
明らかに挙動不審な中年の男が、入店してきたのだ。
(何か気持ちワリーな)
と雄太が思った直後、男は商品も取らずにレジに向かって来て――
――包丁を向けてきた
(は?)
雄太が呆然としていると、男は震える声で要求を述べてきた。
「かっ、金を出せぇ!
出さないと刺すぞ!!」
「なっ?!」
(強盗!?マジかよ!)
テンパっている雄太が冷静さを取り戻す前に、更なる面倒がやってきた。
商品を陳列させていた佳奈が、事情を把握してコッチに向かってきたのだ。
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