#1 柴山 愛

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 なぜか窓際から刺すような視線をチクチクと感じるが、気のせいだと信じてる。 「ほら、早くしないと本当に休み時間終わっちまうぞ」 「そうだね、行ってくるよ」  千蔵は逃げるかのように再び教室から出ていった。あいつも視線を感じてたみたいだな。  くそ、俺も逃げ出したいくらいだ。  こんな騒動があったことと、神流の鋭い視線に隠れていたことも相まって、俺は全く気付いていなかった。  柴山が俺達のやりとりをじっと見つめていたことに。 「どうかした? 柴山さん」 「え!? あ、んーん、なんでもないよ!」 「そう? なんかあのバカ共の方見てたけど」 「いや、ちょっと面白いな~、っと思って」 「ふーん……まああんま近付かないほうがいいわよ。バカが移るから」 「う、うん、気をつけるよ!」
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