#2 Open up

2/20
1928人が本棚に入れています
本棚に追加
/209ページ
 柴山が転校してきてから二週間が経った。すでにすっかり教室に馴染み、今も神流を含めた複数の女子と談笑している。  元々人当たりのよい雰囲気を持っていたし、なかなかに気さくな性格の持ち主のようで、すぐにみんなと打ち解けていた。もうほとんどのクラスメイトと話をしたのではないのだろうか。  ……ちなみに俺はそのほとんどの中に含まれていない。未だにひとことも言葉を交わしたことがないのだ。  たまに目が合うこともあるが、俺の方から即座に逸らしてしまうため何の発展にもならない。  断じて言っておくが、恥ずかしいからとかいう理由ではないぞ?逸らさねばならないそれ相応の理由がある。  顔を上げて周りを見渡す。すると、男子のほとんどが柴山たちのグループに目を向けている。 『やっぱ可愛いよな』 『どうにかお近づきになれねえかなー』 『愛たんハァハァ』  そんな声もちらほらと聞こえてくる。  ……最後の言った奴、俺はお前をクラスメイトとは認めない。  まあ、あれだけ恵まれた容姿を持っているんだ。モテないはずがない。下手したらファンクラブとか出来そうな勢いだ。そんな柴山に簡単に近付いたら俺の命が危うい。
/209ページ

最初のコメントを投稿しよう!