1928人が本棚に入れています
本棚に追加
/209ページ
柴山が転校してきてから二週間が経った。すでにすっかり教室に馴染み、今も神流を含めた複数の女子と談笑している。
元々人当たりのよい雰囲気を持っていたし、なかなかに気さくな性格の持ち主のようで、すぐにみんなと打ち解けていた。もうほとんどのクラスメイトと話をしたのではないのだろうか。
……ちなみに俺はそのほとんどの中に含まれていない。未だにひとことも言葉を交わしたことがないのだ。
たまに目が合うこともあるが、俺の方から即座に逸らしてしまうため何の発展にもならない。
断じて言っておくが、恥ずかしいからとかいう理由ではないぞ?逸らさねばならないそれ相応の理由がある。
顔を上げて周りを見渡す。すると、男子のほとんどが柴山たちのグループに目を向けている。
『やっぱ可愛いよな』
『どうにかお近づきになれねえかなー』
『愛たんハァハァ』
そんな声もちらほらと聞こえてくる。
……最後の言った奴、俺はお前をクラスメイトとは認めない。
まあ、あれだけ恵まれた容姿を持っているんだ。モテないはずがない。下手したらファンクラブとか出来そうな勢いだ。そんな柴山に簡単に近付いたら俺の命が危うい。
最初のコメントを投稿しよう!