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―――町は賑わっていた。
俺は隣を歩く桜子に気を取られて、さっきから転びそうになる。
「あっ永倉さん。この辺で紙、配りませんか?」
…やばい。こいつ、こんなに可愛かったっけ。
「永倉さん?」
「…あ、何?」
「てか、さっきからぼーっとし過ぎですよ、大丈夫ですか?」
そういいながら桜子が俺の顔を覗き込む。
やーめーてーくーれーっ!そんな、心配そうな顔を俺に見せるなっ!
「だっ大丈夫だから。…さあ配ろうぜー…」
「よかった。配りましょう。」
危機一髪。
俺、今、顔真っ赤かも…。
土方さんが半紙に"新撰組女中募集"とだけ書いた紙をそこら辺の女に配る。
正直、まだ女中は来てほしくない。
来なかったら、毎日、桜子とこうやって町に来れるんだから。
―――って俺!
何考えてんだ!
一人で頭を抱える永倉は周囲からみたらおかしな人だった。
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