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「あっちの甘味処は餡蜜がおいしくて、そっちの甘味処は三色団子がおいしいですよ!」
私は斎藤さんと二人で来ようと思ったのに…
「なんで沖田さんもいるんですかあ~!」
「いいじゃないですか。」
ニコニコと笑う沖田さん。
「…まぁいいですけどー。斎藤さんは何処の甘味処がいいですか?」
「…どこでもいい。」
う~ん、それって一番困るんだけど。
「それじゃっあそこにしましょう♪」
ぐいっと沖田さんに腕を掴まれる。
痛いつーのっ!
とは、言えないのでそのまま引っ張られて行く。
「斎藤さんも早くっ!」
のろのろとついて来る斎藤さん。
「ここは確か―――白玉がおいしいんですよ。」
「そうなんですか!じゃあ私は白玉にしようかな♪」
「僕も!斎藤さんはどうします?」
「…」
俯いてる斎藤さん。
あれ?ここの甘味処いやなのかなあ…?
「どうしたんですか?」
「―――それを頼もう。」
斎藤が指を指したのは目の前の女の子だった。
「ちょっ…斎藤さんっ!女の子はここでは頼めませんよっ!」
「…違うっ。その、あの、餡蜜だ…。」
真っ赤な顔をする。ああ!女の子が食べてるあの餡蜜を指差したんだね!
意外っ!餡蜜は結構甘いのに…。
私はずっと甘いものは嫌いなんだと…
「嫌いではない。」
「また声に出してたっ!?」
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