星に願いを

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「あぁ、なるほど…」 と思うと同時に、あたしは (すごい…) と感心してしまった。ここ数日、三月ウサギは勉強漬けで大変だったのだから、あたしと同様疲れているはずなのに、ずいぶん大きな笹の枝をよく三階まで引きずって運んでこれるものだと思う。  するとその時、階段の下の方から声がした。 「おい、なんだ、これは…!どかせ、邪魔だ」  帽子屋の声だ。 「お、帽子屋。悪ィ」  三月ウサギが大して悪くも思っていなさそうな声を出して振り向く。振り向いても、笹が大きすぎる。向こう側にいる帽子屋の姿なんか見えもしない。 「イカレウサギか!早くどかせ!」  下からの帽子屋の怒鳴り声に三月ウサギは肩をすくめ、ザワッと音を立てながら笹を引きずった。が、問題がある。それに気付いたのは、帽子屋だ。 「お前、この馬鹿でかい植物を、一体どうやって部室に入れるつもりなんだ」 「……」  三月ウサギの動きが止まった。流石にあたしでも問題に気付く。 「そうよ…こんな大きな笹、部室のドアを通れないわよ」 「…そうだな」  三月ウサギが、肩をひょいとすくめる。 「本当に何も考えてなかったのね…」  なんだか脱力してしまう。すると騒ぎを聞きつけたのか、部室から王がひょっこり顔をのぞかせた。 「アリス、何してるの?」 と王が首をかしげる。 「三月ウサギが七夕だからって、笹を持ってきたの。でも大きすぎて、部室のドアを通らないと思う」  あたしが言うと、王は部室から出てきて階段をのぞき込み 「あぁー…」 と溜息に似た声を漏らした。 「ね、無理でしょ」 「…そうだね」  あたしの声に王も同意する。
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