星に願いを

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 他の部員達も部室から出て来た。 「うわ、何それ」  眠そうだった目を開いたのは、眠りネズミ。 「どうすんのよ、それ」  ドードーが飽きれたように言う。一方で女王が感心していた。 「そんな大きなもの、よく運んできたわよね」 「本当ですよ、さすが三月ウサギと言うか…。少しは頭を使えばいいのに」  何気にピリリと厳しいことを言うのは、女王の隣にいた白ウサギだ。 「例え部室のドアを通った所で、こんな大きなものベランダに出したら、邪魔で仕方ないじゃないの」  迷惑そうにつぶやいたのは、ベランダで煙草を吸うのが日課のキャタピラ。 (可哀想な三月ウサギ…)  ここまで苦労して笹を運んだのに、こんなにボロクソに言われてしまうなんて、いくらなんでもあんまりだ。しかし誰一人として、三月ウサギの味方はしない。 「いいから、なんとかしろ!」  笹にふさがれて階段を登ることが出来ない帽子屋が、焦れたような怒鳴り声を上げる。こんな時にいつでも冷静なのは門番で 「なんとかと言ったって、どうにもならないだろう。枝の向きがある。上りはいいが、方向転換をしないと下れないぞ。下るなら、まず枝を落とさないと」 と腕組みをした。 「え、せっかくここまで運んだのに?」  三月ウサギが眉を下げる。あたしは思わず三月ウサギの味方をしてしまった。 「どうにかならないかな…せっかくの七夕なんだし、三月ウサギだって頑張って運んでくれたんだし…」  するとチェシャ猫が、何か思いついたようにポンと手を打った。 「部室じゃなくて、屋上に運んじゃったら?」 「屋上…」  部員同士、目を見合わせる。確かに階段は屋上まで続いている。行けない事はないはずだ。が、王が困ったように首を横に振った。 「クラブハウスの屋上は許可がないと出ちゃいけないんだよ」 「そんなことまで許可が必要なの?」  女王がすねたように唇を尖らせた。 「王、なんとかしなさいよ、部長でしょ」 「そんなこと言ったって…」  王は困ったように眉を下げたのだが 「女王命令よ。今すぐなんとかして」 と言われてしまったら、逆らえる人なんかいない。
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