猫とコルセット

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 つかんでいた三月ウサギの胸倉を離し、チラシを広げる。声に出して読みながら、オレは愕然としてしまった。 「ミスコンはミスコンでも、ミスターコンテスト…出場出来るのは、乙女系男子のみ?!」  冗談じゃない。オレはどっからどう見ても男だし、乙女系では決してない。さらに続きを読むと 「優勝者には金一封」 とある。  帽子屋は得意気に 「そこで優勝できれば、部費に困らずに済むじゃないか」 と言うが、オレは断じて納得できない。 「そんな、だからってなんでオレなんだよ?他のヤツにしろって…っ」  申し訳ないが、オレはすーすー眠っている眠りネズミを指差し 「あいつでいいじゃん。あいつで」 と言ってやった。  が、帽子屋サンは首を横に振る。 「あんなに眠たそうなヤツが、まともにミスコンに出られるとは思えん」 「オレだって嫌だよ」 「部の為だ」  そんなことを言われたって、出来ないものは出来ない。というか、やりたくない。  が、帽子屋サンは言った。 「よし。そんなに嫌なら、ここは民主的に投票にしようじゃないか」 「投票…」 「そう。誰がミスターコンテストに出るか、投票をする。票数が一番高かった者は、部を代表してコンテストに出る。それならいいだろう?」 「うーん…それ、帽子屋サンに投票してもいいわけ?」  オレが尋ねると、彼は意外にもすんなり頷いて 「もちろん。投票は誰にしても構わない」 と言う。 「ふぅん…それなら、まァ、いいかな」  投票であれば平等だ。 「よし、では決定だ」  帽子屋サンは、不穏な笑みをにやりと浮かべて言った。 「当選目指して、ぜひ頑張ってもらいたい」
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