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「一生のお願いって言ってもダメ?ねぇ、お願い」
と彼女ににっこり微笑まれて、流石の白ウサギも
「う…っ」
と言葉に詰まっていた。
オレは内心で女王サマを応援してしまった。
(よし!そのまま白ウサギの口からOKが出れば…)
そうしたら、投票をするまでもなく白ウサギで決定だ。
だが、白ウサギは、男としてのプライドだろうか
「いくら女王様のお願いでも、ダメなものはダメです」
となかなか首を縦には振らない。
すると、女王サマは
「ふぅん」
と拗ねたように横を向き、何か考え事をするようにピンと伸ばした人差し指を、細い顎先に当てた。そして、やがて横目でちらりと白ウサギを見て
「でも投票の結果で、白ウサギが出ちゃったら、それは仕方ないわよね」
と意味深な笑みを口元に浮かべる。
「まさか、女王命令で僕に投票するようにって部員に言うんじゃないでしょうね」
白ウサギが疑いを掛けると、女王サマは悪びれもせずにふふん、と優越の笑みを浮かべ
「あら、よく分かったわね」
などと言う。
さすが女王サマだ。白ウサギには可哀想だが、オレは女王サマを支持する。
と思ったのだが、白ウサギも負けていない。こいつは可愛い顔をして、小賢しい所があるのだ。
「あぁ、女王様はそういうことをするわけですか。ふぅん、へぇ…それなら、僕にも考えがあります」
と腕組みをする。
「な、何よ?」
女王サマがひるんだ。白ウサギは、女王サマに負けず劣らずの微笑を口元に浮かべた。
「女王様の秘密、バラしますよ?」
「あたしの秘密?そんなものないわ」
女王は決然としてそう言うが、白ウサギはわざとらしく眉を上げた。
「おや、そうですか。じゃぁ、顔を真っ赤にして可愛い台詞を言ってくれた時のこととか、照れるとどんな表情をするかとか、皆さんに言っても平気なんですね?」
「……!」
女王サマの顔が、見る間に真っ赤になった。雲行きが怪しい。女王サマの権限を利用して白ウサギをはめようという、オレの思惑が外れそうだ。
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