星に願いを

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「…分かった、なんとかする」  王が降参したように、両手をホールドアップして見せた。が、生徒会に行こうにも階段が通れないのでは仕方ない。 「許可は後、動くのが先だ。いいから早く屋上に出てしまえ」  帽子屋が滅茶苦茶なことを言う。でも、こればっかりは仕方ないだろう。結局、三月ウサギは笹を屋上まで運ぶことになった。  ズザザザッと音を立てて、大きな笹の枝が目の前を通り過ぎていく。正直、あたしが思っていた以上に大きかった。 「どこにそんなパワーが残ってたのかしら」  思わずつぶやいてしまった。とにかく笹を引っ張る三月ウサギが階段を登りはじめ、ようやくそこを通ることが出来た帽子屋は憤慨の面持ちだ。 「まったく、人騒がせな」 「まぁまぁ。いいじゃないの、七夕なんだから」  あたしが帽子屋をなだめている間に、王が屋上を使用する許可を取りに生徒会へと向かった。 「ふん、七夕なんぞどうだっていい」  不機嫌な帽子屋は鼻を鳴らして、さっさと部室に向かってしまう。しかし、女王は違った。 「そうよね、せっかくの七夕だもの。何かしましょうよ」  ぴんと立てた人差し指を口元に当てながら、女王がつぶやくのを聞いて、白ウサギが肩をすくめる。 「とりあえず、願い事を書いた短冊でもぶら下げます?」 「そうね。まず短冊だわ。それから他の飾りも作らないといけないし、チャイナ服も必要じゃない?」 「なんでチャイナ服なんですか」  白ウサギが小首をかしげる。女王はにっこりと微笑んだ。 「あら、知らないの?七夕って、元々は中国の行事なのよ。織姫と牽牛が唯一、一年に一度だけ会える日」 「まぁ、ロマンティックではありますけど…どこにチャイナ服なんてあるんですか」  白ウサギの言うことはもっともだ。が、女王も負けていない。 「それを探すのが、白ウサちゃんの仕事」 とにっこり、完璧な微笑を浮かべてみせる。さすがに白ウサギもそれには敵わない。 「…分かりましたよ。眠りネズミに言って、パソコンで貸衣装屋を調べてもらいましょう」  そう言って、あたし達も部室に戻ることにした。
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