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結論だけ言うなら、アリスの票が帽子屋サンに1票、オレの票が三月ウサギに1票。それ以外の9票は、全部オレに入っていた。
「はぁ?!なんだよ、その結果…っ」
オレの味方はアリスだけだ。こうなると、他の部員は敵に見えてくる。
「過半数も超えたし、ミスターコンテストの出場者は、チェシャ猫に決定ね。おめでとう」
ダッチェスが気が抜けるような、ふわぁんとした笑みをオレに向ける。彼女の場合は、悪気はない。ただの天然だ。
「うー…っ」
悔しいが、決まりは決まりだ。言い返す言葉が見付からない。
帽子屋サンはにやりと笑ってオレを見た後、部員全員を見回して言った。
「そうと決まったら、諸君、早速準備をしようと思う」
「準備?何の準備よ?」
ドードーが首を傾げる。
帽子屋サンが咳払いを一つして、オレを顎で指すと、部員の視線がオレに集まった。
「このままじゃぁ、ミスコンには出られないだろう。遊びでやるわけじゃない。狙いは優勝だぞ。とことん磨き上げる必要がある」
それを聞いて、真っ先に頷いたのは女王サマだった。
「そうね…衣装を考えたり、髪の毛を整えたりしないとダメよね」
「その通り。それにただのイベントだからと言って、舐めて掛かっていると痛い目をみるぞ。学園祭のミスコン同様、審査は見た目だけではなく、立ち居振る舞いや素養も重要なポイントになるそうだ」
帽子屋サンがそんな説明をしてくれた。
嫌な予感がする。オレは思わず後退りをしてしまった。
「いや、いいよ、オレは…」
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