2966人が本棚に入れています
本棚に追加
オレよりも、アリスの方が衣装選びを楽しんでいた。
「あ、これも可愛い。チェックのスカートって、なんかお嬢様っぽいよね」
などと、スケッチブックを目をきらきらさせて見ている。
確かに可愛いのかもしれないが、お嬢様ルックなんてオレには似合わない。
オレが最終的に一番気に入ったのは、明るいパープルと黒のレースを組み合わせた衣装だった。
「この中ならこれが好きかな」
女の子の服のデザインなんてよく分からないが、雰囲気は英国のパンクっぽくて、色も派手すぎず暗すぎずで気に入った。
「あ、チェシャ猫に似合いそう」
アリスもうなずいてくれた。だが、それを見た女王サマは
「確かにオシャレだけど、もっと女の子らしい、ドレスとかの方がいいんじゃない?」
と言う。
「お姫様のイメージでしょう?なんだかこれだと、気の強そうなおてんばって感じよ」
「え、そうかなぁ」
オレは首をかしげたが、そこはキャラピラが味方してくれた。
「でも黒は体を細く見せるし、パープルもちょっとセクシーさが出ていいんじゃない?」
「そうよ。それにチェシャ猫には似合うと思うな」
アリスも一緒に頷いてくれる。
それを聞いて、女王サマがオレを見た。つま先から頭のてっぺんまでじろじろと。それから
「まぁ、そうね。チェシャ猫に似合うのが一番かしら」
とつぶやく。アリスは力強くうなずき
「そうよ。それに、ほら。チェシャ猫はお姫様なんだから、なんでも言うこと聞いてあげないと」
と笑う。
キャタピラはホッとしたように笑みを浮かべ
「OK、じゃぁ、このイメージね。Tシャツやジャケットは買えばいいけど、スカートはダッチェスに作ってもらおう」
「あー、いいなぁ。手作りスカート」
アリスが本気でうらやましがるから、オレはふふん、と笑ってやった。
「いいだろ。オーダーメイドだぜ」
「こら。言葉遣い」
すぐさま注意をする辺り、アリスはすっかりオレの家庭教師だ。
衣装のイメージが決まると、すぐさまそのスケッチを白ウサギが、ダッチェスへと届けに行った。
最初のコメントを投稿しよう!