猫とコルセット

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「一人で着替えたいから、出てってよ」  オレが言うと、帽子屋サンは不機嫌そうに首を横に振った。 「面倒くさい。なんでお前一人の着替えの為に、こっちが出て行かなくちゃならないんだ。お茶会の途中だぞ」  彼はそう言って紅茶をすするが、オレには特権があるのだ。 「帽子屋サン、オレ…じゃない。アタシをお姫様あつかいするって言ってなかったっけぇ?」  その言葉に、帽子屋サンはぐっと詰まった。 「それは、そうだが…」 「じゃぁ、ほら。出てってよ」  そう言ってシッシッと手を振ると、帽子屋サンも他の部員もしぶしぶながら外に出て行こうとしたのだが、ダッチェスが 「一人じゃ多分着れないと思うの。誰かお手伝いが必要よ」 と言い出した。 「お手伝いは男の子のがいいかしら」  ダッチェスが部員を見回すと、偶然三月ウサギと目が合ったらしい。 「ん、じゃぁ、俺が手伝ってやるよ」  というわけで、ダッチェスと三月ウサギをのぞく全員が部室の外に出た。 「手伝われなきゃ着れないようなもんなの?」  オレがたずねると、ダッチェスは一度頷き 「女の子のオシャレは大変なのよー。さぁ、じゃぁ、さっそく着替えましょうか。まず、スカートね」 とスカートを広げて見せた。 (ダッチェスの前で脱ぐのか)  先生とはいえ、一応女だ。なんだか気恥ずかしい気もしたが、下手にためらっている方が女々しくて恥ずかしい。  心を決めて、ベルトを外し、パンツ一丁になる。そうしてスカートをはいたわけだが 「うー、気持ち悪い…」  思っていたよりも短いスカートで、なんだか足元がスースーして、落ち着かない。しかも上は制服のワイシャツにネクタイという格好だから、余計に違和感があった。
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