ホワイトクリスマス

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 それは白ウサギも一緒だったらしく、銀縁眼鏡のブリッジを中指で押し上げながら、まじまじと彼女の顔を見た。 「本気ですか?いくらなんでも、全校生徒を参加させるほどのパーティーは無理のような気が…」  が、女王はばっさりと白ウサギの言葉を切った。 「あたしに無理なことなんてないわ。だって、あたし、女王だもの」  にっこりと微笑む女王の自信がどこから来るのか聞いてみたい。  とにかく彼女は 「それだけ大きなパーティーを開催しちゃえば、生徒会もあたし達の実力を認めざるを得ないと思うの」 と言う。  王は溜め息を吐いた。 「まぁ、確かにそれが本当に出来るならね。でも問題は…」  王はそこでちらりと門番を見て、続けた。 「そんな予算がうちにはないってこと。ただでさえ、七夕だとかバレンタインだとか、イベントのたびに部費使ってるんだから」  門番もぱたんと本を閉じ、それに同意する。 「全校生徒を参加させるようなパーティーを開くには、それなりの予算も掛かる。部費は足りないし、そんなことに使うわけには行かない」  が、女王は負けなかった。 「要するに、お金がどうにかなればいいのよね?」 「まぁ、それはそうだけど…」  そんなことは無理だと言わんばかりに、王が首を振る。その首をピッと睨んで、女王は 「首を切るわよ。グダグダ言わないで」 と一喝し、王がヒクッと喉を鳴らして黙り込んだ。  彼女は言った。 「お金のことなんて、どうにでもなるわよ。まぁ、見てなさい。さ、行くわよ、白ウサギ」 「はい…っ?」  白ウサギは目を白黒させながらも、女王が部室を出て行こうとしているのを見て 「ちょっと待って下さいよ。どこに行くんですか…っ」 と慌ててバッグを持ち、彼女の後を追いかける。 「いいからついて来なさい。見てなさいよ。絶対に全校生徒のクリスマスパーティーを開きますからね」  女王はそう言ったかと思うと、すぐさま部室を出て行ってしまった。  嵐のように突然やって来て、嵐のようにさっさと去る。  彼女が去ってからやって来た静寂の時間に 「人騒がせなやつめ。一体なんだったんだ」 と帽子屋が呟く。  少なくともその時は、女王がそれを本気で実行に移そうとするなど、考え付きもしなかったのだ。
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