プロローグ

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ハハハハ。嘗めて貰っちゃ困るよこれでも一応男と女だ。力の差は歴然、圧倒的に有利だ。えっ、卑怯? そんなもん知ったこっちゃない。こっちはあれだけチビチビ言われてんだ、少し位痛い目を見させなくちゃな。まぁ手加減はしとくよ。勝てるはずだ、一応女だしな。 ・・・な、はずだったんだけどね。少しばかりリ、リーチがね、身長30も違うとリーチがね。 うん。 哀しいよ、 のばした手が行き場を失ってるよ。 この虚しさを例えるなら、体育祭の前日に勘違いして朝早くに学校に行って、着替えていたら、好きだった女の子に『明日だよ』って笑顔で言われて、皆に言い触らされて、次の日は風邪で休んだくらいの虚しさだよ。 例えが長くて意味分かんない? そのくらい虚しいんだよ。 俺はとりあえず吹っ飛んだ。 布団のように吹っ飛んだ。 そしてこれが 俺とあいつの出会いだった。 虚し、哀しい中学の卒業式だった。
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