始まりの日

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薄っぺらい鞄を肩に背負い、欠伸混じりに校舎へと続く桜並木を歩けば、パリッとした制服に身を包み興奮と期待に混じる表情をした生徒の姿が目に映る。 そういや今日は入学式だったっけか。 初々しい姿を呆と見ながら桃色の花びらがはらはらと舞う並木道をのんびりと歩いていれば、後方から聞き覚えのある声が聞こえてきた。 「おーはーよー」 間延びした声に振り返ることなく、校舎に続く並木道を歩く。 「無視すんなよー!!」 「あ゛ー!! 鬱陶しい!!」 背中に飛びついてきた裕也を追い払う為に回し蹴りをお見舞いすれば、読まれていたのか、あっさりとしゃがみ避けられた。 くそっ。俺の行動を読んでいやがったか。 悔しさに襲われつつも、仕方なく裕也と並び並木道を歩く。 こいつと並んで歩けば視線を感じ、視界に入る新入生の女達が頬を赤らめてこちらを見ていることに気づいた。 「新入生、可愛いねー」 裕也が笑顔で手を振れば、女達は嬉しそうに騒ぎ出す。 俺は裕也のように愛想を振るう気なんか毛のほども無く、視線を気にせずに歩いた。 裕也よ。女には堪らないかもしれないが、その笑顔、嘘くささ満点で気持ち悪いぞ。
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