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顔目掛けて飛んできた拳を身を屈めて避け、懐に入るなり拳を坊主の男の腹にめり込ませた。
「ぐ……あ……」
坊主の男は腹を押さえながらタイル張りの床に膝から崩れ落ちる。
それを視界の隅で留めると、瞬時に態勢を整えた。
「この野郎っ!!」
次に向かって来た短髪の男の拳を先程と同じように簡単に避ければ、眼前に新たな拳があった。
避けれねえか。
避けることが不可能と理解した脳はあえてその拳を受ける。
ゴッ。
鈍い音がし、頬に痛みが走った。
数歩後ろに下がり顔を上げれば、優越感に浸る金髪の男がいた。
さっきの拳はこいつのようだな。
それにしても……軽いパンチだ。
「どうだ!? 狂犬を殴ってやったぜ!!」
俺を殴ったことがそんなに嬉しかったのか、金髪の男は殴った拳を見ながら喜んでいる。
今のうちに喜んでおけよ。
もうてめえのパンチは食らわねえんだからな。
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