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「今はそのこと黙ってて!! 私だって目の保養したいのよ!!」
おい。鬼塚の耳元でひそひそと話しているつもりだろうが、聞こえているぞ。
目の保養って……。俺はてめえの目の保養かよ。
金髪の女の失礼ともとれる発言に口元が引きつるのを感じながら、階段を上がり、屋上にやって来た。
「なんでこんな暑いとこで食べないといけないんだよ……」
後ろから鬼塚の文句がぶつぶつと聞こえる。
黙ってついて来いよ。
「小鈴ちゃんって言うんだー。名前も可愛いよね。あ、俺は金本裕也ね。よろしくー」
お前も黙れよ。
貯水タンクの影に入ると、俺はそこに腰を下ろした。
後の奴らも戸惑いながらも座りだす。
裕也の奴はちゃっかりメガネ女の横に座り、鬼塚は金髪の女の横に座ろうとしている。
てめえは座る場所が違うだろ。そこじゃねえよ。
「うわっ!?」
俺は腕を伸ばし、金髪の女の横に座ろうとした鬼塚の腕を掴むと、ぐいっと引っ張って俺の隣に座らせた。
「てめえの座る場所はここだよ」
「え!? 決まってんですか!? 全力で嫌なんですけど!!」
嫌そうな顔をして移動しようとする鬼塚の腕を掴んだまま、それを阻止する。
そんなに嫌がらなくても、いいんじゃね?
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