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しばらく腕を掴んでいれば、渋々といった感じで鬼塚は大人しくなったから、腕を放した。
「さーて!! 自己紹介タイムといきますかー」
横に座っている裕也が手を叩きながら立ち上がり、ここにいる全員を見渡した。
お前、やけにノリノリだな。
「俺は金本裕也。好きな言葉はなるようになる!! 好きな教科は数学と英語。好きな食べ物はハンバーグ。好きな人は……知りたい?」
「知りたかねえよ」
裕也の好きな物ばっかの長い自己紹介に若干苛立ち、最後の言葉に直ぐさま答えると、まだ何か言いたかったのか、肩を落としながら座った。
「じゃあ次は小鈴ちゃんの番!!」
明るい声にめげてないことを知る。
お前は常にポジティブだな……。
メガネの女は俯いたままもじもじとし、顔を赤らめながら口を開いた。
「え……と、小池……小鈴といい……ます。す……好きな……ものは……」
「小鈴ちゃん、別にそこまで言わなくていいって」
もじもじとし、困りながら裕也のような自己紹介をしようとする小池を鬼塚が止めれば、小池は安堵したように息を吐いた。
それを見ている裕也が「あー、恥ずかしがる小鈴ちゃんも可愛いな」と小声で言っているのに、触れないでいよう。
面倒くさいからな。
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