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「嫌ですよ!! なんで先輩の弁当を作らないといけないんですか!?」
「俺が食べてえからだよ」
しれっと答えれば、鬼塚は俺から離れるように体を捩らせた。
ずっと思っていたが、何故そんなに俺を嫌うんだ?
俺が何かしたか?
まだ何もしてないはずだが?
鬼塚本人にしか分からない疑問に悩みながら、苦めのコーヒーを喉に流し込む。
「作ってあげてもいいじゃない。守はケチなんだから」
「たまちゃんはどっちの味方?」
「私? 決まってるでしょ。イケメンの味方」
満面の笑顔で答える工藤に、鬼塚は固まってしまった。
そりゃそうだろ。
友達である自分よりも俺達のほうをとったんだからな。
「小鈴ちゃん、その卵焼き俺に食べさせてよー」
「え……え……」
焼きそばパンを頬張っていれば、横から裕也の声と小池の困った声が聞こえてきて、ちらりと視線をやれば、裕也が小池に向かって口を開いていた。
食べさせてもらう為のあーんの状態だ。
小池は泣きそうになりながら、裕也と箸で挟んだ卵焼きを交互に見ている。
おいおい。マジで泣くんじゃね?
泣かせんじゃねえぞ。
「早く早くー」
「え……え……うぅ」
裕也に急かされ、困り果てた小池はついに涙を零してしまった。
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