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斜め後ろから突然腕が伸びてきて、それは私の腕を掴むなり強い力で向かおうとした方角とは違う方に引っ張られて。
体が前に傾きながらも、引かれた方に無理矢理駆けさけられる。
知らない背中が、そこにあった。
私の知ってる人?
「お、おおおおいっ!!」
戸惑っていれば、後方から荒げられたおじさんの声が飛んできたけど……前を走る人は角を曲がっちゃって、声は直ぐに聞こえなくなった。
てゆうかてゆうか!! 本当にこの人誰!?
デートなんて言ってたけど、私、デートする相手いなぁぁぁい!!
「ねぇっ!! ねぇってば!!」
「あ、ごめんっ」
結構な距離を無理矢理走らせられて息があがってきた頃、堪らなくなって前にある背中に声を投げた。
そこでようやく私の様子に気づいたらしく、その人……男子高生? は、振り返り立ち止まって、謝ってくる。
「大、丈夫?」
大丈夫じゃないって見て分からないのかしら!?
と、怒鳴りたいのは山々……なんだけだ、体力が限界よっ……。
ぜぇはぁぜぇはぁと、乱れた息を整える為に、側にあった電柱に手をついて、頭を垂れた。
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