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息が落ち着いて、ようやく手の相手を見た。
細身のジーパンに上はチェックのシャツでダウンを羽織っていて。
目は細く、銀フレームの眼鏡をかけていて……真面目そうって言葉がしっくりくるタイプだ。
でも、真面目な感じな割りには
、整った顔つきしてる。
……て、まじまじと観察してる場合じゃなかったわ!!
「何してくれるのよ?」
鬱っとしたものを忘れたくて自棄になったとはいえ、邪魔されたのは不服もの。
じろりと睨みあげれば、そいつは悪気なんて感じてない風で、私から目を逸らすなり溜め息一つ。
その態度が気に食わないっ。
「ねぇ。何してくれるのよって聞いてんだけど。それとも何? 援交しようとした女を助けて正義ぶってんの? そうだったら勘違いもいいとこよ。女にはね、余計なお節介されたくない時があるんだからっ」
つい、声を荒げてしまう。
でもそいつは黙っていて、でもふいっと……背を向けて歩き出した。
は? 何?
余計なお節介の後は、放置?
「何よあいつ」
苛立ってしまうけど、走ったことにより体は気だるくて、追いかけはせずに花壇の積み上げられたレンガに腰を下ろした。
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