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「運命って、信じる?」
「突拍子の無い問いですね」
「で? 信じるの?」
同棲しだして早五年。
すっかり隣にいるのが当たり前になってるダーリン、輝男に質問を投げた。
真っ赤なソファーに座って、ヒューマンドラマをなんとなしげに見ていたんだけど、何でかふっと……高校時代の自分を思い出して、聞きたくなっただけ。
輝男は不思議そうに私を見ると、それだけで、またテレビに目をやった。
「信じてますよ?」
赤い糸だの運命だの信じていた若い私。
その時の私のように、運命を信じてるらしい輝男。
……まぁ、何故だか疑問系だけどっ。
「援交目的のサラリーマンと環さんがホテル街に居合わせたのは、きっと運命でした」
「あー……そっか。あの偶然考えたら運命と思えるよね」
「なんていうのは嘘で」
…………は?
う、そ?
嘘の指す意味が見当たらなくて、丸いクッションを抱き締めながら輝男を覗き込んだ。
そしたら輝男はばつの悪そうな表情をしていて、益々不思議になるのだけど?
「実は前々から環さんを見ていて、それであの時、コンビニ前にいた環さんを反対側の歩道から見ていて……。サラリーマンとどこかに行ったのを気になって後をつけた……ていったら、これは運命じゃないですよね」
「え」
「ていうか、ドン引きですよねー……」
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