運命について

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追及する勢いが、過ぎたこととはいえ馬鹿な過ち一歩手前の状況になっていた私を思い出させられて、言葉が詰まってしまった。 苦い笑みを浮かべて冷や汗なんてものを垂らしていれば、輝男の眼鏡の向こうにある目が……私を捉える。 「でも、環さんが自棄になってくれたおかげで、僕は環さんに関わる前提ができた。弱ってる女に優しくして落とすって、卑怯かもしれませんが……環さんが好きだと、泣かれた時に気づいたんです 引きました?」 「…………」 「環さんを見かけるようになって、自棄になられて、前提ができて……その流れは、僕は運命だとそう思ってますよ?」 「なんかそれ……自分の行動を美化しちゃってない?」 「少しとはいえストーカー行為かもしれませんからね。でも、知ってますか?」 ふんわりと苦笑して、首を傾げながら小指をたて見せる輝男。 「赤い糸って、一人あたり二、三本あるらしいですよ?」 一本じゃないってことは、運命とは呼べない気が……してしまう数よね、それ。 「二、三本の中の内の一本が、僕の場合は環さん。他の糸にあたっていれば、環さんとは繋がらなかった。それって運命って呼べませんかね?」 「……そう、だね」 運命の相手が最高三人いて、その内の一人が自分で。 それって……運命って、呼べるのかもね。 輝男の説明に強引感はあるとしても運命じみたものもあって、小さく頷いた。
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