運命について

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「でも、運命なんてそんなもんよねー。何億の精子」 「環さんっ」 「いいじゃん。恥じらいなんていーの!! 輝男だけなんだからね? 何も気にしないで遠慮なく言えるのって」 「それは……卑怯ですね」 性的なことに少しでも触れてしまえば、何故か男の輝男が照れてしまう。 だから思った気持ちを口にすれば、輝男は俯いて鼻の頭を指で掻いて……その姿が可愛いな、なんて思うわけで。 「生まれてきて、出会って、こうやって一緒にいて……それって凄い確率だよね それ考えると、運命、信じれるよ」 一度は運命なんかー……て、否定してしまったけど、何億、何兆? 生まれた時から数多に枝分かれる分岐点からこうやって今があるのを思えば……運命って、やっぱりあるのかも。 それは人によっては縁があるっていうかもしれないけど、私は運命って言葉が好きだな、なんて思いながら。 小さく笑ながら、私を盗み見るようにしている輝男の腕を掴んで、そっと……。 額にキスを落とした。 「環さん……俺と、結婚、しませんか?」 赤い糸の二、三本のうちの一本。 せっかく繋がった糸なんだから、糸っていうより縄みたいに、頑丈にしたい。       fin
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