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午後の授業を物思いにふけりながら受けていれば、気づくと終了の予鈴が鳴っていた。
クラスのみんなが部活や帰りの支度をするのを見ながら、うちも机の横にぶら下がった鞄を手にとる。
「たまちゃん、小鈴ちゃん、帰ろー」
二人に声をかければ、前の席のたまちゃんが申し訳なさそうな顔で振り返ってきた。
「ごめん!! 今日は彼氏と帰る約束なの」
「そうなんだ。彼氏と仲良くしてきなー」
たまちゃんの彼氏は他校の生徒で、よくたまちゃんを迎えにこの学校の校門まで来ている。
「輝男っちが来るまで待っていようか?」
たまちゃんの彼氏、輝男こと輝男っちが来るまで一緒に待ってもいいな、と思いながら言えば、たまちゃんは首を横に振った。
「いつ来るか分からないからいいわよ。先に帰って」
「そう? でも寂しくなったり襲われそうになったら連絡してよ。すっ飛んでくるから!!」
「相変わらず頼もしいわね」
大好きなたまちゃんに寂しい思いをさせるならいつだって傍にいて、美人なたまちゃんが襲われそうになったらヒーローのごとく敵を倒してやる。
それほどまでにたまちゃんは大事な友達なんだから。
もちろん小鈴ちゃんも笑顔で手を振り、小鈴ちゃんと教室から出ようとした時だった。
異変が起きたのは。
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